無機化学の色まとめ(イオン/化合物(沈殿)/ハロゲンなど)

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『無機化学の色まとめ(イオン/化合物(沈殿)/ハロゲンなど)』について解説しています。


水溶液中のイオンの色

  • 代表的なイオンの水溶液中での色を次に示す。
イオン
Cu2+青色
Fe2+淡緑色
Fe3+黄褐色
Ni2+緑色
Cr3+緑色
Mn2+淡桃色
CrO42ー黄色
Cr2O72ー赤橙色
MnO4赤紫色
I3褐色
[Cu(NH3)4]2+深青色
[Ni(NH3)62+青紫色

※イオンの基本カラーは無色。上記は色に特徴があるイオンたち。
※色のついた金属イオンは基本的に遷移元素
酸化還元滴定(実験・計算問題・指示薬・硫酸酸性にする理由など)でMn2+の色を無色と紹介しているが、これは滴定で生じるMn2+の濃度が極めて低いため、淡桃色が極限まで薄まった結果無色に見えていると考えよう。
※I3が褐色なのは”うがい薬”でイメージしよう。うがい薬にはヨウ素が含まれている。
※イオンに何かが加わると基本的に色が濁る(or濃くなる)イメージ。Cu2+の色は青色で[Cu(NH3)4]2+になると深青色になる。


水酸化物の色

  • 代表的な水酸化物の色を次に示す。
水酸化物
Fe(OH)2緑白色
Fe(OH)3赤褐色
Cu(OH)2青白色
Cr(OH)3灰緑色
Ni(OH)2灰緑色
それ以外の水酸化物白色

※水酸化物の基本カラーは白色。上記は色に特徴がある水酸化物たち。
※イオンに何かが加わると基本的に色が濁る(or濃くなる)イメージ。Fe2+は淡緑色なのでそれに水酸化物イオンが加わったFe(OH)2は緑白色。Cr3+は緑色なのでCr(OH)3は灰緑色。


酸化物の色

  • 代表的な酸化物の色を次に示す。
酸化物
CuO黒色
Cu2O赤褐色
Ag2O暗褐色
MnO2黒色
FeO黒色
Fe3O4黒色
Fe2O3赤褐色
ZnO白色
HgO黄色

※鉄が酸化したものは”さび”だから鉄の酸化物(FeO・Fe3O4)は基本黒色。さらに酸化が進むとFe2O3のように赤色になってくる

参考:鉄の単体・化合物の性質や特徴・製法・イオンの色など

※CuO(黒)を加熱するとCu2O(赤色)になる。(フェーリング反応)

参考:銀鏡反応とフェーリング反応(原理・反応式・沈殿・色変化など)

※MnO2はマンガン乾電池に使われている。
※Znの物質は白色系統が多い。ZnOはジンクホワイトと呼ばれ白色顔料(ベビーパウダーなど)として使われる。
※HgOは教科書や参考書に書いてあることが多いが入試にはあまり出ない。


塩化物の色

  • 代表的な塩化物の色を次に示す。
塩化物
AgCl白色
PbCl2白色
Hg2Cl2白色

※塩化物は全て白色。入試頻出なのはこの3つである。


硫酸塩の色

  • 代表的な硫酸塩の色を次に示す。
硫酸塩
CaSO4白色
SrSO4白色
BaSO4白色
PbSO4白色

※硫酸塩は全て白色。入試頻出なのはこの4つである。


炭酸塩の色

  • 代表的な炭酸塩の色を次に示す。
炭酸塩
CaCO3白色
BaCO3白色

※炭酸塩は全て白色。入試頻出なのはこの2つである。


硫化物の色

  • 代表的な硫化物の色を次に示す。
硫化物
ZnS白色
SnS褐色
CdS黄色
MnS肉紅色

※沈殿は基本的に白色が多いが、硫化物の沈殿は基本が黒色。上記は色に特徴がある硫化物たち。
※ZnSはZnが入っているので白色になる。(Znの化合物は白色が多い)
※MnSはMnが含まれている。Mn2+の色は淡桃色だったが、先述の通りイオンに何かが加わると基本的に色が濁る(or濃くなる)ので、MnSの色は肉紅色となる。


クロム酸塩の色

  • 代表系なクロム酸塩の色を次に示す。
クロム酸塩
BaCrO4黄色
PbCrO4黄色
Ag2CrO4赤褐色

※BaCrO4、PbCrO4はCrO42ーの色が黄色であることを意識すると覚えやすい。


ハロゲン単体の色

  • ハロゲン単体の色を次に示す。
ハロゲン単体
F2淡黄色
Cl2黄緑色
Br2赤褐色
I2黒紫色

※常温常圧においてF2とCl2は気体、Br2は液体、I2は固体である。色と合わせて物質の状態についてもイメージしながら覚えるようにしよう。

参考:常温・常圧時の物質の状態まとめ(気体・液体・固体)


ハロゲン化銀の色

  • ハロゲン化銀の色を次に示す。
ハロゲン化銀
AgCl白色
AgBr淡黄色
AgI黄色

※塩化物の沈殿は全て白なのでAgClは白。
※周期表上で下の元素になるにつれて色が濃くなる(白色→淡黄色→黄色)と覚えよう。


鉄のイオンの検出反応

  • 鉄イオンの検出反応に関する色を次に示す。
イオン操作沈殿(溶液)の色
Fe2+ヘキサシアノ鉄(Ⅲ)酸カリウムK3[Fe(CN)6]を加える濃青色↓
Fe3+ヘキサシアノ鉄(Ⅱ)酸カリウムK4[Fe(CN)6]を加える濃青色↓
チオシアン酸カリウムKSCNを加える血赤色aq

※Fe2+を含む水溶液にK3[Fe(CN)6]を加える又はFe3+を含む水溶液にK4[Fe(CN)6]を加えると濃青色の沈殿を生じる。
※Fe3+を含む水溶液にKSCNを加えると溶液が血赤色になる。(沈殿ではないことに注意)

参考:鉄の単体・化合物の性質や特徴・製法・イオンの色など


金属単体の色

  • 代表的な金属単体の色を次に示す。
金属単体
Cu赤色
Au黄色
Pb青色

※金属の単体の色は基本的に銀白色である。
※Cuの色は銅色ではなく赤色と表現する。
※Auは当然金色だが、金色は黄色に金属光沢が加わったものとして考えて色を聞かれたら黄色と答える。
※Pbは基本的に銀白色でOKだが、他の金属と比べてやや青みを帯びている。


気体の色

  • 代表的な気体の色を次に示す。
気体
F2淡黄色
Cl2黄緑色
NO2赤褐色
O3淡青色

※気体の色は基本的に無色である。上記は色に特徴がある気体たち。


炎色反応の色

  • 代表的な炎色反応の色を次に示す。
元素化学式
リチウムLi赤色
ナトリウムNa黄色
カリウムK紫色
Cu緑色
カルシウムCa橙色
ストロンチウムSr紅色
バリウムBa黄緑色

※炎色反応の色について詳しくは次のページを参照のこと。

参考:【炎色反応】色一覧や仕組み、具体例、操作など

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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