元素と単体の違い(具体例・見分け方・例題・問題など)

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『元素と単体の違い(具体例・見分け方・例題・問題など)』について解説しています。


単体とは

  • 純物質のうち、1種類の元素からなる物質を単体という。単体の具体例としては、O2、H2、N2、Feなどが挙げられる。

ちなみに、純物質のうち、2種類以上の元素からなる物質を化合物といいます。化合物の具体例としては、H2O、NH3、NaClなどが挙げられます。

参考:単体と化合物(定義・違い・見分け方・一覧など)


元素とは

  • 物質をつくる基本的な成分を元素という。
  • 具体例としては、H(水素)やC(炭素)、O(酸素)などが挙げられる。元素記号そのままであることに注目しよう。
    イメージとしては次のとおりである。
  • 単体の「H2(水素)」という物質の構成成分である「H(水素)」
  • 単体の「O2(酸素)」という物質の構成成分である「O(酸素)」
  • 単体の「C(黒鉛やダイヤモンド)」という物質の構成成分である「C(炭素)」

参考:元素(原子との関係・元素記号一覧など)


単体と元素の違い・見分け方

元素触れることができない
単体触れることができる
  • 元素は物質の構成成分、単体は1種類の元素からなる物質を指す。
  • したがって、単体は実在する物質そのものなので触れることができ、元素はあくまで構成成分なので直接触れることができない。
  • 「元素か単体か」を問われたときは「実際に触れることができるのか」を基準に考えよう。
問題

太字部分が「元素」か「単体」かを見分けよ。
地殻中には酸素が多く含まれている。

  • この文中で実際に触れることができるのは地殻である。
  • 酸素は地殻の構成成分で触れることはできないので元素である。

演習問題

問1

太字部分が「元素」か「単体」かを見分けよ。
その患者は酸素吸入を受けながら搬送された。

解答/解説:タップで表示

解答:単体

ここでは実際に存在する気体の酸素O2を吸入している。

触れることができるので空気中の酸素と同じであり、したがって単体である。

問2

太字部分が「元素」か「単体」かを見分けよ。
アンモニアは、窒素と水素から合成されている。

解答/解説:タップで表示

解答:単体

アンモニアは次の反応式のように気体の水素H2と気体のN2から合成される。

\[ \mathrm{3H_{2} + N_{2} → 2NH_{3}} \]

気体の水素は触れることができるので、単体である。

問3

太字部分が「元素」か「単体」かを見分けよ。
カルシウムは骨や歯に多く含まれている。

解答/解説:タップで表示

解答:元素

カルシウムは、骨や歯にリン酸カルシウムCa3(PO4)2として含まれている。

カルシウム自体は、リン酸カルシウムの構成成分の1つであり、直接触れることができない。

したがって、単体ではなく元素である。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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