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陽イオンの定性分析〜原理・目的・反応式まとめ〜

約 4 分

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陽イオンの定性分析とは

まずは、陽イオンの定性分析とはなにかという所から説明していこう。

陽イオンの定性分析とは、複数の陽イオンが含まれる水溶液に対して様々な操作を行うことで沈殿生成反応や炎色反応を引き起こし、その水溶液に含まれる陽イオンを特定する分析法のことだ。

上の図のように、①から⑤(+炎色反応)の操作を順番に行うことで、陽イオンをキレイに分離することができる。
ここから先でそれぞれの反応の原理や目的、反応式について説明していくので、よく読んで「陽イオンの定性分析マスター」を目指そう!!

陽イオンの定性分析の一連の流れ

陽イオンの定性分析は、先ほど上でも示したように、次のような流れで行われる。

まずは操作①から見ていこう。

操作①

陽イオンが多く含まれる溶液にHClを加える

まずは、陽イオンが多く含まれる溶液にHClを加える。

塩化物イオンClはAg+・Pb2+・Hg+などの陽イオンと塩化物の沈殿を作りやすい。
従って、今回水溶液中に含まれている陽イオンの中ではAg+とPb2+がそれぞれAgCl・PbCl2として沈殿する。

また、沈殿ができた後にろ過操作を行う(=ろ別する)ことで、沈殿を取り除く。

操作②

酸性下でH2S(S2-)を通じる

次に、酸性下でH2S(S2-)を通じる。

硫化物イオンS2-はCu2+・Pb2+・Sn2+・Cd2+などの陽イオンと硫化物の沈殿を作りやすい。
従って、今回水溶液中に含まれている陽イオンの中ではCu2+がCuSとして沈殿する。
ちなみに、Pb2+は操作①で既に沈殿として取り除いてしまっているのでここでは沈殿しない。注意しよう。

また、この操作は酸性下で行う必要があるが、操作①でHClを加えているため水溶液は既に酸性になっているため、H2Sを通じるだけでOKということも把握しておこう。

操作③

煮沸後硝酸を加え、NH3(少量のOH)を通じる

次に、煮沸後硝酸を加え、NH3(少量のOH)を通じる。

水酸化物イオンOHはAl3+・Fe3+・Cr3+などの陽イオンと水酸化物の沈殿を作りやすい。
従って、今回水溶液中に含まれている陽イオンの中ではAl3+とFe3+がそれぞれAl(OH)3・Fe(OH)3として沈殿する。

この操作では、注目すべき重要なポイントが3つある。
順番に確認していこう。

【ポイント1】 煮沸する理由

煮沸を行うのは「H2Sを追い出すため」だ。

操作2で加えたH2Sを始めに除去しないと、塩基性にした段階でZnS等が沈殿してしまう。(詳しくは操作4へ)

【ポイント2】 硝酸を加える理由

硝酸を加えるのは「H2Sにより還元されたFe2+を酸化して再度Fe3+にするため」だ。

Fe2+のままだと、OHを加えたときに(Fe(OH)3ではなく)Fe(OH)2が生じてしまう。
Fe(OH)2は溶解度が極めて大きいので完全には沈殿せず、鉄イオンを上手く取り出すことができないんだ。

【ポイント3】 Zn2+について

Zn2+はOHと沈殿Zn(OH)2を形成しやすい。

しかし、アンモニアNHを加えることで、錯イオン[Zn(NH3)42+を作って沈殿が溶解するんだ。
その結果、この段階では沈殿として出てくることはない。覚えておこう。

操作④

塩基性下でH2S(S2-)を通じる

次に、塩基性下でH2S(S2-)を通じる。

塩基性下では、硫化物イオンS2-はZn2+・Co2+・Ni2+・Mn2+などの陽イオンと硫化物の沈殿を作りやすい。
従って、今回水溶液中に含まれている陽イオンの中ではZn2+がZnSとして沈殿する。

操作⑤

(NH4)2CO3溶液(CO32-)を加える

次に、(NH4)2CO3溶液(CO32-)を加える。

炭酸イオンCO32-はCa2+・Ba2+などの陽イオンと炭酸塩の沈殿を作りやすい。
従って、今回水溶液中に含まれている陽イオンの中ではCa2+とBa2+がそれぞれCaCO3・BaCO3として沈殿する。

また、(NH4)2CO3溶液を加える代わりにCO2を吹き込んでも同じ反応が起こる。

最後は炎色反応

最後に、炎色反応を使ってアルカリ金属・アルカリ土類金属を判別する。

他の金属の炎色反応については「炎色反応の色一覧」を見てね!

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