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ハロゲン単体・ハロゲン化水素の性質・製法

約 7 分

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単体

色・状態

まずは、ハロゲン単体の色と常温常圧時の状態について確認していこう。
  

状態
F2 淡黄色 気体
Cl2 黄緑色 気体
Br2 赤褐色 液体
I2 黒紫色 固体

色については表に書いてある通り、そのまま覚えるようにしよう。
状態に関しては、なぜ F2・Cl2は気体でBr2は液体、I2は固体なのかをきっちり理解しておく必要がある。

分子量が異なると、それに伴ってファンデルワールス力にも違いが出てくる。

分子量が小さいと分子間の接触面積が小さいためお互いがお互いを引き合う力(=ファンデルワールス力)は小さくなる。
逆に分子量が大きいと接触面積も大きくなるため、ファンデルワールス力も大きくなる。

従って、ハロゲンの単体の中で1番分子量の小さいF2のファンデルワールス力が最も小さく、分子量が大きくなるにつれてファンデルワールス力も大きくなっていく。

ここで、ファンデルワールス力と沸点・融点の関係を確認していこう。

先ほどから述べているように、ファンデルワールス力は分子同士がお互いを引き合う力のこと。

従って、この力が大きくなるほど分子同士がお互いを引き合っている、つまり、分子同士の結合が強いということになるんだ。
結合が強い方が当然結合が切れにくく、固体から液体や気体になりづらい(=沸点・融点が低い)。

以上を考慮すると、ハロゲン単体の常温常圧時の状態が以下のようになるのが理解できるね。

酸化力・還元力

ハロゲン単体は酸化剤として働くことがあるが、この時の酸化力の強弱は次のような順になっている。

酸化剤としての強さは、電気陰性度の大小と深く関係している。

「電気陰性度」の所でやったように、電気陰性度とは電子を引っ張る強さのことだった。

従って、電気陰性度が大きい方が相手のもつeを引っ張る力が強い、つまり、相手のもつeを奪いやすいということになる。

eを奪われるというのは酸化されるということを意味するので、「電気陰性度が大きい=相手を酸化しやすい=酸化力が強い」となるわけだ。

以上を考慮すると、ハロゲンの酸化力が下のようになるのが理解できるね。

ハロゲン同士の反応

今やった酸化力の知識を生かすと、次の問題を解くことができる。

【問題】

次の2つの式のうち、反応が起こるのはどちらか。

F2 + 2HCl →
Br2 + 2HCl →

まずは、上の式について考えてみよう。
FとClの電気陰性度を比べると、Fの方が高い。
従って、上やったようにFの方が「酸化力=電子eを奪う力」が強いということになる。

Fの方がemを奪う力が強いのに、Fが分子でClがイオン(eが多い状態)になっているのはおかしい!ということで、FがClからeを奪って次のような反応が起こる。

次に、問題の所に書いた下の方の式について考えてみよう。

BrとClの酸化力比べると(より電気陰性度の大きい)Clの方が高い。
従って、BrがClからeを奪い取るということはなく、反応は起こらない。

水素H2との反応

ハロゲンの単体と水素H2との反応でも、ポイントは「酸化力」だ。

フッ素は酸化力が高いため、低温や暗所であってもH2と爆発的に反応する。

H2 + F2 → 2HF

また、Fの次に酸化力の強いCl2は(低温や暗所では難しいものの)常温で光を当てれば反応する。

H2 + Cl2 → 2HCl

Br2やI2は酸化力が低いため高温下で触媒を使う必要がある。

H2 + Br2 → 2HBr

H2 + I2 → 2HI

水H2Oとの反応

先ほどから書いているように、フッ素は酸化力が極めて高いため水H2Oとも激しく反応する。

2F2 + 2H2O → 4HF + O2

塩素は、水に少しだけ溶けて塩素水となる。(塩素の一部はH2Oと次のように反応)

Cl2 + H2O → HCl + HClO

この時、HClに含まれるClの酸化数は「−1」、HClOに含まれるClの酸化数は「+1」になっているね。(酸化数について詳しくは「酸化数」を見てね)

気づいたかな。

そう、H2Oと反応するCl2のうち、片方のClは酸化されていて、もう片方のClは還元されているんだね。

これは塩素に特徴的な現象なのでよく覚えておこう。

また、この時発生したHClOは酸化力があり消毒作用や漂白作用をもつということも併せて覚えておくといいね。

Br2は水に少し溶けて臭素水になる。

I2は常温常圧で固体であり、分子結晶を形成しているので基本的に水には溶けない。

ただし、ヨウ化カリウムKI水溶液ではIと反応してI3となって、褐色の溶液になり溶解する。

I + I2 ⇄ I3

塩素の単体の製法

工業的製法

塩素の単体Cl2を工業的に作る際は、NaOHの工業的製法である「陽イオン交換膜法」を用いる。

陽イオン交換膜法に関して詳しいことは水酸化ナトリウムの製法「陽イオン交換膜法」の仕組みや反応式を完全網羅!!を見てみてね。

実験室的製法

Cl2の単体を実験室内で生成するときは酸化マンガン(Ⅳ)MnO2に濃塩酸HClを加えて加熱する。

この製法に関して詳しいことは酸化マンガンを材料にした「塩素の製法」について徹底解説!洗気びんの順番の理由まで!!を見てみてね。

ハロゲン化水素

ハロゲン化水素とは、ハロゲンと水素から成る化合物のことだ。

酸としての強さ

ハロゲン化水素のうち、フッ化水素HFだけは弱酸、その他は強酸となっている。

沸点

ハロゲン化水素の沸点をグラフにすると、次のようになる。

基本的に、ハロゲン化水素の沸点は分子量に比例する。

これは、(単体の所でやったように)分子量の大きい方がファンデルワールス力が大きくなり分子間の結合が切れにくくなるからだ。

しかし、フッ化水素の沸点だけは例外的に高くなっている。

これは、フッ素は(Cl,Br,Iとは異なり)水素結合を形成するからだ。

水素結合によって、分子間の結合がより強固なものになっているんだね。

ハロゲン化物イオンと銀イオン

ハロゲン化物イオンと銀イオンの反応は、生成物の色が特徴的で出題されやすい。

カルシウムイオンCa2+との反応

フッ化物イオンのみCa2+と反応してフッ化カルシウム(CaF2)として沈殿する。

Ca2+ 2F → CaF2

フッ化水素酸HFの反応

フッ化水水素の水溶液であるフッ化水素酸は、ガラス(主成分:SiO2)を溶解させる。

SiO2 + 6HF → H2SiF6 + 2H2O

HClの製法

工業的製法

HClを工業的に作る際は水素と塩素を反応させる。

H2 + Cl2 → 2HCl

実験室的製法

HClを実験室で作る際は塩化ナトリウムNaClに濃硫酸H2SO4を加えて加熱する。

NaCl + H2SO4 → NaHSO4 + HCl

これは、H2SO4が不揮発性であることを利用した揮発性酸の遊離反応だね。
揮発酸遊離反応に関して詳しいことは「揮発酸遊離反応」を見てね!

オキソ酸

オキソ酸というのは「酸素原子を含む酸」のことだったよね。(オキソ酸に関して詳しいことは「目指せオキソ酸マスター!オキソ酸の強さや構造、酸化数について徹底解説!!」を見てね)

塩素はこのオキソ酸のバリエーションが多く、いずれも非常に有名なのでしっかり覚えておこう。

塩素酸を基準として、酸素が1コ多いものを過塩素酸、1コ少ないものを亜塩素酸、2コ少ないものを次亜塩素酸という。

酸としての強さは過塩素酸が最も高く、酸化力はいずれのオキソ酸も持っている。

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