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二段滴定

約 8 分

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二段滴定とは

二段滴定とは、「2価の酸や塩基には、中和点が2コある」ということを生かして、2段階に分けて中和する滴定のことだ。

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例として、「Na2CO3のHClによる二段滴定」を使って説明しよう。

Na2CO3の入った容器があるとしよう。

ここに、HClを垂らして滴定していく。

すると、次のような反応がおこる。

【第1段階】

Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl

第1段階では、Na2CO3が反応してNaHCO3が生成される。

2価の酸は、一気にではなく「段階的」に中和されるんだ。
従って、いきなりH2CO3にはならず、いったんNaHCO3という「1価」の塩基に変化する。

だんだん価数が減っていき、(これから説明するが)最終的に第2段階でNaHCO3が中和されて二段滴定は終了となる。

【第2段階】

NaHCO3 + HCl → NaCl + H2CO3(H2O+CO2

第2段階では、第1段階で出てきた1価の酸(ここではNaHCO3)が反応する。

また、「H2CO3はできた後すぐにH20とCO2に分解する」ということも必ず覚えておこう。

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二段滴定のグラフ



二段滴定のグラフは上の通り。
スタートの位置から流れを追って説明していこう。

① スタート時

塩酸を入れる前は、(Na2CO3は強塩基なので、)pHは12より少し上のあたり。

② 塩酸を滴下

塩酸(強酸)を入れることで徐々にpHが下がってくる。

③ 中和点に達する

塩酸(強酸)を入れることで徐々にpHが下がってくる。普通の中和滴定なら、強酸+強塩基なので中和点はpH=7のはずだが、今回は二段滴定なので一段階目で完全には中和はしない。(というよりNaHCO3という「弱塩基」に変化するにとどまる)
従って、pHは7より少し上の8程度になる。
(ちなみにNaHCO3は弱塩基なのはNa2CO3が強塩基でそこにH+が入ったからちょっと塩基性が下がったってイメージしてくれればいい。)

④ さらに塩酸を滴下

pHがさらに下がってきて、再び中和点に達する。このときは、弱塩基と強酸の反応なので、通常通りに中和点は酸性に偏る。

二段滴定の流れはこんな感じだ。
これから実際に計算問題を解いてみようと思う。

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計算してみよう

二段滴定は、入試では混合液の形で出題されることが多い。

よって、ここではその形で演習しようとおもう。

問題

ここに、炭酸ナトリウム(Na2CO3)と、水酸化ナトリウム(NaOH)の混合液が500[mL]ある。
この溶液を1.0[mol/L]の塩酸(HCl)で滴定するとき、グラフを参考に以下の問いに答えなさい。
   
(1)第1段階、第2段階で起きる反応をそれぞれ答えよ。(化学反応式)
(2)第1中和点(上)と第2中和点を見つけるのに適した指示薬をそれぞれ答えよ。
(3)水溶液に含まれていた水酸化ナトリウムの濃度は何[mol/L]か。
(4)水溶液に含まれていた炭酸ナトリウムの濃度は何[mol/L]か。


 

解説

問題を解いていく上で、まず知っておかなければいけないことが1つある。

「H+の受け取りやすさ」についてだ。

HCO3<CO32-<OH

今回出てくる陰イオンのH+の受け取りやすさは上の通りだ。
この順番覚えた上で問題に取り組んでほしい。

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(1)

まず第1段階だ。
第1段階では2つの反応が起きる。

NaOH + HCl → NaCl + H2O
Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl

上でまとめたH+の受け取りやすさより、NaOHが真っ先にHClと反応する。
そして次に、 Na2CO3だ。

次に第2段階。

NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O

この反応が起こる。

混合液になって難しく感じるかも知れないけど、Na2CO3だけに注目するとさっきと何も変わってないよね。第1段階にNaOHの反応が加わっただけだ。

(2)

指示薬についてだ。

グラフを見てもらえれば分かるように、一個目の中和点はpH8付近、二個目の中和点はpH4付近だ。

ということは、使える指示薬は「一個目ではフェノールフタレイン」、「2個目ではメチルオレンジ」だね。

(3)

さて、いよいよ計算だ。

水酸化ナトリウムの濃度をx[mol/L]とすると、

これを解いて、
x=0.04[mol/L]

これで分かった人はそれでOK。以下式の中身について詳しく説明しておく。

まず、「左辺の20/1000がどこから来たか」を説明しよう。

今回の三つの反応式を見てほしい。

NaOH + HCl → NaCl + H2O
Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl
NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O

注目するのは「係数」ね。
2つ目の式と3つ目の式のNaHCO3を見てほしい。
係数はともに1だね。つまり係数の比は1:1だ。

2つ目の式で、HClとNaHCO3の係数比は1:1、3つ目の式で、HClとNaHCO3の係数比は1:1だ。

つまり、2つ目の式と3つ目の式のHClは両方とも同じ量使われているということになるね。

すると…

問題文の下に与えられていたグラフから、1段階目の中和点から2段階目の中和点までに使ったHClの量は「50(120ー70)ml」であることが分かる。従って、1段階目の中和までに使われたHClの量も50mlということになるね。よって、最初の「NaOH + HCl → NaCl + H2O」の反応では、20[ml]のHClが使われてることが分かる。

次に、「500/1000がどこからきたか」について説明していこう。

結論から言うと、「500/1000」は問題文に書いてあった混合液全体の[L]だ。

なぜNaClの[L]に混合液全体の[L]を使うことができるのか。

疑問に思う人も多いかも知れないが、これは「2つの物質で溶媒を共有しているから」だと思ってくれればいい。

混合液というのはそもそも、「Na2CO3溶液とNaOH溶液の混合したもの」のことだ。
つまり、大量の水にちょこっとずつNa2CO3とNaOHが入ってる状態なんだ。

この場合、NaOHの濃度を考えるときはNa2CO3が入ってることは完全に無視していい。
なぜなら、(大量の水の中にわずかなNa2CO3とNaOHが入っているという状況を考えると)Na2CO3の占める体積は全体から見て「ほんの少しの量」だからね。

こう考えると、混合液の[L]をNaOH溶液の[L]として計算できる。

(4)

Na2CO3の濃度も(3)と同じやり方で計算できる。

これを解いて、
x=0.10[mol/L]

緑で囲んだのは価数だ。今まで通りだね。

しかし、オレンジで囲まれた「2」はなんの値だろうか。

今求めたいのはNa2CO3の濃度[mol/L]だから、Na2CO3が関係している式に注目する。

Na2CO3 + HCl → NaHCO3 + NaCl
NaHCO3 + HCl → NaCl + H2O

Na2CO3が関係している式はこの2つ。上の反応は「第1段階」の反応、下は「第2段階」の反応だね。

(3)でやったように、それぞれの反応でHClは50[mL]ずつ使われている。従って、HClの放出したHの量は、50[ml]あたりに放出する量の2倍ということになる。この「2倍」を表すのがオレンジで囲まれた「2」だ。

また、Na2CO3は2倍されていない。(×2とあるがこれは価数)
これは、もともとNa2CO3だったものが変わってNaHCO3になり、それがそのまま次の反応で使われているからだね。2段階目の反応をするにあたって新しくNaHCO3を用意したわけではなく、全てが最初のNa2CO3由来になっているんだ。

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