中和(定義・塩・中和反応式の作り方など)

目次

はじめに

【プロ講師解説】このページでは『中和(定義・塩・中和反応式の作り方など)』について解説しています。


中和とは

  • 酸と塩基が反応すると、塩と水が生じる。この反応を中和という。
  • 中和が起こると、酸・塩基ともにその性質が打ち消される。

塩酸HClと水酸化ナトリウムNaOH水溶液の反応

  • 酸である塩酸HClから出た水素イオンHと塩基である水酸化ナトリウムNaOHから出たOHが合わさってH2Oが生じる。また、余った塩化物イオンClとナトリウムイオンNaがくっついて塩である塩化ナトリウムNaClが生じる。
  • また、次のように”水が発生しない中和”も存在する。

塩化水素HClとアンモニアNH3の反応

  • 酸である塩化水素HClが水素イオンHを出してClとなり、塩基であるアンモニアNH3がHを受け取ってNH4になる。また、ClとNH4はくっついて塩化アンモニウムNH4Clの白煙となる。

中和と中性は違う

  • 酸と塩基が打ち消されることを「中和」というが、似たような言葉の「中性」とは少し意味が異なる。このあたりについて詳しくは次のページを参照のこと。

参考:中和と中性の違いって何?pH7が中和点とは限らない理由を解説!


中和の化学反応式の作り方

  • 中和の化学反応式の作り方を、具体例を用いて解説する。

硫酸と水酸化ナトリウムの中和反応

STEP
酸・塩基の化学式を書く。

まずは、酸である硫酸と塩基である水酸化ナトリウムの化学式を書く。

\[ \mathrm{H_{2}SO_{4}+NaOH} \]

STEP
HとOHの数を合わせる。

次に、酸・塩基の係数を調節することで、HとOHの数を合わせる。

\[ \mathrm{H_{2}SO_{4}+2NaOH} \]

今回の場合、H2SO4に含まれるHの数が2個のため、NaOHの係数を2にすればOK。

STEP
HとOHの数だけ右辺にH2Oを書く。

次に、HとOHの数だけ右辺にH2Oを書く。

\[ \mathrm{H_{2}SO_{4}+2NaOH→2H_{2}O} \]

今回は、STEP2でHとOHの数を2個で揃えたため、右辺にH2Oを2個書き込む。

STEP
左辺でまだ反応に使われていないイオンを右辺に塩として書く。

最後に、左辺でまだ反応に使われていないイオンを右辺に塩として書く。

\[ \mathrm{H_{2}SO_{4} + 2NaOH → 2H_{2}O + Na_{2}SO_{4}} \]

今回は、左辺にSO42ーが1個、Naが2個余っているため、右辺にはそれらを組み合わせた塩Na2SO4(硫酸ナトリウム)を書き込む。

塩酸と水酸化カルシウムの中和反応

STEP
酸・塩基の化学式を書く。

まずは、酸である塩酸と塩基である水酸化カルシウムの化学式を書く。

\[ \mathrm{HCl + Ca(OH)_{2}} \]

STEP
HとOHの数を合わせる。

次に、酸・塩基の係数を調節することで、HとOHの数を合わせる。

\[ \mathrm{2HCl + Ca(OH)_{2}} \]

今回の場合、Ca(OH)2に含まれるOHの数が2個のため、HClの係数を2にすればOK。

STEP
HとOHの数だけ右辺にH2Oを書く。

次に、HとOHの数だけ右辺にH2Oを書く。

\[ \mathrm{2HCl + Ca(OH)_{2} → 2H_{2}O} \]

今回は、STEP2でHとOHの数を2個で揃えたため、右辺にH2Oを2個書き込む。

STEP
左辺でまだ反応に使われていないイオンを右辺に塩として書く。

最後に、左辺でまだ反応に使われていないイオンを右辺に塩として書く。

\[ \mathrm{2HCl + Ca(OH)_{2} → 2H_{2}O + CaCl_{2}} \]

今回は、左辺にClが2個、Ca2+が1個余っているため、右辺にはそれらを組み合わせた塩CaCl2(塩化カルシウム)を書き込む。


中和まとめ

この『中和(定義・塩・中和反応式の作り方など)』のページで解説した内容をまとめる。


演習問題

化学のグルメでは、高校化学・化学基礎の一問一答問題を公開しています。問題一覧は【スマホで出来る】一問一答(高校化学・化学基礎)でご覧下さい。

問1

酸と塩基が反応すると、塩と水が生じる。この反応を【1】という。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】中和

酸と塩基が反応すると、塩と水が生じる。この反応を中和という。

問2

中和反応では多くの場合【1】【2】が生じる。塩酸HClと水酸化ナトリウムNaOHの反応では、酸であるHClから出た【3】と塩基であるNaOHから出た【4】が合わさって【1】が、また、余ったClとNa+がくっついて【2】の一種である【5】が生じる。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】水H2O【2】塩【3】H+【4】OH【5】塩化ナトリウムNaCl

中和反応では多くの場合水と塩が生じる。塩酸HClと水酸化ナトリウムNaOHの反応では、酸であるHClから出たHと塩基であるNaOHから出たOHが合わさって水が、また、余ったClとNa+がくっついて塩の一種である塩化ナトリウムNaClが生じる。

問3

塩化水素HClとアンモニアNH3の中和反応では例外的に水H2Oが生じない。酸であるHClが【1】を出して【2】となり、塩基であるNH3【1】を受け取って【3】となり、【2】【3】が組み合わさって【4】の白煙となる。

解答/解説:タップで表示

解答:【1】H+【2】Cl【3】NH4+【4】塩化アンモニウムNH4Cl

塩化水素HClとアンモニアNH3の中和反応では例外的に水H2Oが生じない。酸であるHClがHを出してClとなり、塩基であるNH3がHを受け取ってNH4となり、ClとNH4が組み合わさって塩化アンモニウムNH4Clの白煙となる。

問4

硫酸と水酸化ナトリウムの中和反応の反応式を書け。

解答/解説:タップで表示

解答:H2SO4 + 2NaOH → 2H2O + Na2SO4

STEP
酸・塩基の化学式を書く。

まずは、酸である硫酸と塩基である水酸化ナトリウムの化学式を書く。

\[ \mathrm{H_{2}SO_{4}+NaOH} \]

STEP
HとOHの数を合わせる。

次に、酸・塩基の係数を調節することで、HとOHの数を合わせる。

\[ \mathrm{H_{2}SO_{4}+2NaOH} \]

今回の場合、H2SO4に含まれるHの数が2個のため、NaOHの係数を2にすればOK。

STEP
HとOHの数だけ右辺にH2Oを書く。

次に、HとOHの数だけ右辺にH2Oを書く。

\[ \mathrm{H_{2}SO_{4}+2NaOH→2H_{2}O} \]

今回は、STEP2でHとOHの数を2個で揃えたため、右辺にH2Oを2個書き込む。

STEP
左辺でまだ反応に使われていないイオンを右辺に塩として書く。

最後に、左辺でまだ反応に使われていないイオンを右辺に塩として書く。

\[ \mathrm{H_{2}SO_{4} + 2NaOH → 2H_{2}O + Na_{2}SO_{4}} \]

今回は、左辺にSO42ーが1個、Naが2個余っているため、右辺にはそれらを組み合わせた塩Na2SO4(硫酸ナトリウム)を書き込む。

問5

塩酸と水酸化カルシウムの中和反応の反応式を書け。

解答/解説:タップで表示

解答:2HCl + Ca(OH)2 → 2H2O + CaCl2

STEP
酸・塩基の化学式を書く。

まずは、酸である塩酸と塩基である水酸化カルシウムの化学式を書く。

\[ \mathrm{HCl + Ca(OH)_{2}} \]

STEP
HとOHの数を合わせる。

次に、酸・塩基の係数を調節することで、HとOHの数を合わせる。

\[ \mathrm{2HCl + Ca(OH)_{2}} \]

今回の場合、Ca(OH)2に含まれるOHの数が2個のため、HClの係数を2にすればOK。

STEP
HとOHの数だけ右辺にH2Oを書く。

次に、HとOHの数だけ右辺にH2Oを書く。

\[ \mathrm{2HCl + Ca(OH)_{2} → 2H_{2}O} \]

今回は、STEP2でHとOHの数を2個で揃えたため、右辺にH2Oを2個書き込む。

STEP
左辺でまだ反応に使われていないイオンを右辺に塩として書く。

最後に、左辺でまだ反応に使われていないイオンを右辺に塩として書く。

\[ \mathrm{2HCl + Ca(OH)_{2} → 2H_{2}O + CaCl_{2}} \]

今回は、左辺にClが2個、Ca2+が1個余っているため、右辺にはそれらを組み合わせた塩CaCl2(塩化カルシウム)を書き込む。

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著者情報

元講師、薬剤師、イラストレーター
数百名の中高生向け指導経験あり(過去生徒合格実績:東工大・東北大・筑波大・千葉大・岡山大・早稲田大・慶應義塾大・東京理科大・上智大・明治大など)。
2014年よりwebメディア『化学のグルメ』を運営
公式オンラインストアで販売中の理論化学ドリルシリーズ・有機化学ドリル等を執筆
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