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酸化還元滴定とは?原理・計算問題・指示薬・硫酸酸性にする理由など

約 8 分

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酸化還元滴定とは

酸化還元滴定とは酸化と還元の仕組みを利用して、濃度未知の物質の濃度を求める滴定のことだ。

酸化還元滴定で入試に出るのは、過マンガン酸カリウムを使った滴定ヨウ素を使った滴定の二種類。

これらについて順番に見ていくことにしよう。

過マンガン酸カリウム滴定

過マンガン酸カリウムを使った滴定の仕組み

「シュウ酸の過マンガン酸カリウムによる滴定」を例に、この滴定の仕組みを説明していこう。

シュウ酸(無色)が入った容器があるとする。

ここに、過マンガン酸カリウム(赤紫色)をポタポタと垂らしていく。

過マンガン酸カリウムが入ると溶液は”一瞬”赤紫色になるが、シュウ酸に打ち消されて色が消え、再び無色となる。(=酸化還元反応)

しかし垂らし続けていくと、ある地点まで来たときに急に赤紫色が消えなくなる。

なぜだろうか。

そう、シュウ酸がなくなって酸化還元反応が起こせなくなったんだね。

そのせいで、過マンガン酸カリウムの色(正確に言うと過マンガン酸カリウムが電離したマンガンイオンMn2+の色)がそのまま残り、赤紫色になってしまっているんだ。

この「色が変わるタイミング」を上手く利用することで、シュウ酸や過マンガン酸カリウムの濃度を求めることができる。

注意
気づいた人もいるかもしれないが、過マンガン酸カリウムを使った酸化還元滴定では、指示薬を使用しない。これは、過マンガン酸カリウムそのものに色の変化が起きるからである。中和滴定とは違うので注意しておこう。

過マンガン酸カリウムを使った滴定の計算

ここからは今説明した過マンガン酸カリウムを使った滴定に実際に数値を当てはめて計算していく。

例題
濃度未知のシュウ酸500[ml]に0.5[mol/L]の過マンガン酸カリウムを滴下していく。200[ml]滴下したところで、色が赤紫色から変化しなくなった。この時のシュウ酸の濃度を求めよ。


上のSTEPに従って説明していこう。

STEP1

2つの半反応式から反応式をつくる。


(作り方がわからなかったら「半反応式・反応式」「化学計算演習(半反応式)」をみてね)

STEP2

酸化剤が受け取るe[mol]=還元剤が出すe[mol]を使用し、濃度[mol/L]を求める。

この問題では、酸化剤であるKMnO4の受け取るeのmolが、還元剤であるH2C2O2の出すeのmolと等しくなればいいね。

これを解いて、
x=0.5[mol/L]
となる。

ちなみに、緑で囲んだ5と2は酸塩基で言う「価数」みたいなものだと思ってほしい。この位置には、「それぞれの半反応式の電子の係数」を書いてやればOK。

過マンガン酸カリウム滴定を行うとき“硫酸酸性下”で行う理由

酸化還元滴定の問題文には「硫酸酸性下で滴定を行う」と書かれていることが多い。
これは過マンガン酸カリウムが液性(酸性・塩基性・中性)によって異なる反応を示すことを考慮して書かれているものである。

酸性下:MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O
塩基性下:MnO4 + 4H+ + 3e → MnO2 + 2H2O

過マンガン酸カリウムは酸性下では「MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O」という反応を起こすが、中性・塩基性下では「MnO4 + 4H+ + 3e → MnO2 + 2H2O」という反応を起こす。酸化還元滴定を行う上では過マンガン酸カリウムは「MnO4 + 8H+ + 5e → Mn2+ + 4H2O」の反応を起こしてくれた方が都合がいいので酸性下という条件が必要なのである。

ヨウ素を使った滴定1「ヨードメトリー」

ヨウ素を使った滴定は2種類存在する。

1つは、I(ヨウ化物イオン)を使って酸化剤の濃度を求めるヨードメトリー、もう1つは、I2(ヨウ素)を使って還元剤の濃度を求めるヨージメトリーだ。

まずは、1つ目のヨードメトリーについて説明していく。

ヨードメトリーの仕組み

「過酸化水素(H2O2)の、ヨウ化カリウム(KI)による滴定」を例に説明していこう。
(ちなみに、ヨウ化カリウムは還元剤なので、ここでは(酸化剤・還元剤両方に成り得る)過酸化水素は酸化剤として働く)

ヨウ化カリウム(KI)が入った容器があるとしよう。


(KIは電離した状態で書いた)

ここに、濃度を測りたい過酸化水素(H2O2)を加える。

すると、還元剤であるKIが酸化剤であるH2O2によって酸化され「I2」が生じる。(半反応式、反応式等は後述)

ここに、指示薬としてデンプンを加える。
これによって、「I2があるため溶液は青紫色に変色」する。

最後に、先ほど生じたI2を滴定するため、すでに濃度の分かっているチオ硫酸ナトリウムを少しずつ垂らしていく。

すると…I2が消えて色が青紫から無色へと変わる。(チオ硫酸ナトリウムのNa+と反応してNaIとなった)

ここまでに使ったチオ硫酸ナトリウムの量等を使い、H2O2の濃度を求めていく。

ヨードメトリーの計算

仕組みが何となくわかったところで、例題を使い実際に計算してみよう。

例題
硫酸酸性の1.0[mol/L]のヨウ化カリウム(KI)500[ml]に、濃度不明の過酸化水素(H2O2)200[ml]を加える。これに、指示薬としてデンプンを加えた後、1.0[mol/L]のチオ硫酸ナトリウムで滴定していった。すると、100[ml]加えたとき青紫色が消え、無色となった。この時の過酸化水素の濃度を求めなさい。

STEP1

ヨウ化カリウム(Iを含むもの)と濃度未知の物質の半反応式から1つの反応式を作る。


今回は、ヨウ化カリウム(Iを含むもの)と過酸化水素の半反応式から1つの反応式を作る。(式の作り方を知らないor覚えてない場合は「半反応式・反応式」「化学計算演習(半反応式)」を見てね)

STEP2

ヨウ素とすでに濃度の分かっている物質の半反応式から1つの反応式を作る。

今回は、ヨウ素とチオ硫酸ナトリウムの半反応式から1つの反応式を作る。(式の作り方を知らないor覚えてない場合は「半反応式・反応式」「化学計算演習(半反応式)」を見てね)

STEP3

STEP1、STEP2で作成した式の係数比を利用し、一気に解く。

STEP1、STEP2で求めた反応式の係数に注目しよう。

2つの反応式のヨウ素(I2)の係数は1で等しい。
ここから、この実験において、H2O2:Na2S2O3=1:2であることが分かるね。


であるので、

H2O2 : Na2S2O3 = 1 : 2 = x : 0.1

これを解いて、
x=0.05[mol]

よって、H2O2は200[ml]あったので、

ヨウ素を使った滴定2「ヨージメトリー」

ヨージメトリーの仕組み

「H2Sのヨウ素による滴定」を例に、ヨージメトリーの仕組みについて説明していこう。

ヨウ素(I2)の入った容器があるとする。

ここに、濃度未知のH2Sを加える。

すると、酸化剤であるヨウ素(I2)の一部が還元剤のH2Sによって還元され、Iになる。

ここに、指示薬としてデンプンを入れる。
これによって、I2があるため溶液は青紫色に変色する。

最後に、まだ残っている(H2Sによって還元されなかった)I2を滴定するためチオ硫酸ナトリウムをたらしていく。

すると…I2が消え、色が青紫から無色へと変わる。(チオ硫酸ナトリウムのNa+と反応してNaIになった)

ここまでに使ったチオ硫酸ナトリウムの量等を使い、H2O2を求めていく。

最後の方は、ヨードメトリーとほとんど同じだね。
ヨードメトリーは生じたI2を、ヨージメトリーは残ったI2を滴定しているんだ。

ヨードメトリーの計算

例題を使い計算してみよう。

例題
1.0[mol/L]のヨウ素液500[ml]に、濃度未知の硫化水素(H2S)を500[ml]を加えた。ここにデンプンを加えた後、2.0[mol/L]のチオ硫酸ナトリウムをたらして滴定した。すると、200[ml]加えたところで溶液が青紫色から無色へと変化した。このときの硫化水素(H2S)の濃度を求めよ。

STEP1

各物質について半反応式を書く。

まずは各物質の半反応式を書こう。
今回使われているのは、I2とH2SとNa2S2O3の3つだね。

I2 + 2e → 2I
H2S → S + 2H+ + 2e
2S2O32- → S4O62- + 2e

STEP2

係数に注意しながら直線を使って解く。

そしたらあとは、逆滴定(酸・塩基)のところでやった直線を使うやり方で解く。(もし忘れていたら「逆滴定」を見てね)
ヨウ素を、硫化水素とチオ硫酸ナトリウムの2つを使って還元するっていうイメージだね。

酸化剤の放出するeの合計と還元剤の放出するeの合計の[mol]が等しいことから次のような式を作る。


(緑で囲ったのは価数ね)

これを解いて、

x=0.6[mol/L]

※Na2S2O3の価数が1なのに疑問を覚える人がいるかもしれないけど、これは、半反応式中のeの係数も2だが、元となるS2O32-の係数も2になっているからだ。
反応物の係数が1じゃないときは最後にかける価数が変化してくるから気をつけてね。

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